神戸グルメゲリラ

Nukko Nuko, sometimes gourmet blog

「万引き家族」の後味の悪さとは何か、 白い素麺はエロメタファーと迫る危機についての考察(※ネタバレあり)

※ネタバレありですが、観てない人にとっては何のこっちゃ解らないよう配慮はしたつもりです。この映画を観てみたいとなれば幸いです。

万引きGメンvs万引き家族、ではなくて

万引きGメンと飽くなき戦いを繰り返す家族、その攻防戦を描いた映画ではなくて

こんな映画です。

以下のキーワードの属性を持つ人々が擬似家族を構成し、ひとつ屋根の下で暮らしながら、やがて本当の家族の絆を深めていく映画。風呂の下を掘り始めるまでは...

万引き家族、問題のキーワード

社会に居場所が無いという問題

低賃金、貧困化の問題

孤独老人、年金の問題

万引きという病の問題

教育、不登校の問題

子供虐待の問題

家族崩壊の問題

DVの問題

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レビューは★4と5が約7割

これら問題の当事者たちが過去に傷つき、行き場を無くした者どうしが、ひとつ屋根の下に集まり擬似家族らしきもの形成、お互いを労わるように暮らしているが、お金によるお互いの関係性が異様な様相のストーリー展開となっている。今、日本で問題になってるキーワードのストーリーを、これでもかぁ!ってギュッと凝縮した映画なのかもしれない

でも幸せそうで楽しそうなのですよ!万引き家族の人たちは!

本当の家族でないのに、本当の家族以上の絆を感じさせ、問題ありありなのですが、幸せそうに見えてしまうところが、この映画の恐ろしいところ

例えお互いが、どんなに異様な関係性でも、生きる幸せとは、お金は無くとも幸せな家族、そんな幸せの価値観が重要でして、万引き家族の人たちは、それを表現するかのような暮らしぶりでして、この錯覚を起こさせているのが、この映画の恐ろしいところ、実際、僕も家出して万引き家族に加わりたいと思ったぐらいです。

問題になってるキーワードをすべて覆い隠したのは、絆による救い

そんな、すり替えをやっている脚色があり、暖かな家族の雰囲気さえ漂う

擬似家族でも、この家族の絆が、せめてもの救いに見えるようにして誤魔化しているというか、実はそんな脚色の裏で問題のエネルギーは確実に溜め込まれてゆく

そしてその溜め込んだのエネルギーを一気に放出させて、問題になってるキーワードを観る側に浴びせて、せめてもの救いであった家族の絆らしき幻想を、存在すら諸とも消し去って終わっていく映画、観る側の認識の甘さを、万引き家族と共に一気に奈落の底へ突き落とし、映画監督だけがカタストロフィーを得るような、これがこの映画の恐ろしさの本質かと、さすがパルムドール賞恐るべし

奈落モードへ転じる為に、万引き家族の幸せのピークを演じさせる

海へ家族旅行に行った日を境に壊れはじめます。

樹木希林お婆ちゃんが老衰で死んだこの瞬間から万引き家族が崩壊していく様を、観る側へも追体験させたい。そのお膳立てが、ここまでの万引き家族への幻想であり、幸せイベント使って、せっせと仕込んでいるのです奈落エネルギーを!それは我々も万引き家族として、出来れば、このまま幸せが続けばいいのにと思った瞬間、はい!あなたは取り込まれました!という事なのです。

面白かったシーンは

万引き素麺が、とても美味そう見えて堪りませんでした。

大雨の日、白い素麺が、ぬるりとテーブルから垂れ落ちそうになってるシーン、なんのメタファー仕込んどるんやーコレ、そしてそこへ子供たちが帰ってきて、大慌てで服着て、誤魔化しまわる2人が、可笑しくて可笑しくて、よく考え尽くされた名脚本やと思います。お約束の脚本なのかもしれませんが、子供が雨の中、徐々に家に近づいている恐怖といいましょうか、それを知ってるのが我々だけという中々面白い演出であったと思います。つまりエロと迫る危機が渾然一体となって、素麺を食べるシーンから漂い出すエロの香り、エロメタファーへの小道具とて伏線を張ってとなる訳です。

しばらくは素麺食べるたびに万引き家族を思い出してしまいそうです。

お婆ちゃんを埋めたあたりから、いよいよ始まる

埋めて黙ってたら、年金だか生活保護だか、よくわからんあのお金がずっと振り込まれてくる。埋めて死んだ事を隠すのだ!ゆる~く誤魔化していた問題になってるキーワードを露呈させる物語の開始

溜め込んだ奈落エネルギーを、さぁ皆さん、受け取ってもうらいましょうか!この映画は、ここからが本番ですよ、いいですか!

じわりじわりと嫌~な映画に変貌し、引き込まれていく恐ろしさを感じる

「でも家族の絆はあった」と思いたい。

まだ、すがるような観る側に、警察の取り調べシーンで粉砕していく

つまり取り調べが行われているのは、実は観てる側に対してのトリックを仕掛けてきている。取り調べの警察官に、想いを自供するが、当然、通じない。このやっぱ、通じないという諦めを引き出すのが、このシーンの目的だと思います。

そんな駄目だしのあと味の悪さ、これで観る側を落としきる。

やがて容疑者は無言になってしまい取り調べに落ちる。それは観る側も同時に落としているのである。家族というテーマを瓦解させらてた瞬間である。

そしてあの家は、一瞬で空き家姿に差し替えられ、まるで最初から家族など無かったような印象、消えてしまったが、その消失感の心の隙間に、この映画が問題としてたものを、翔太と父の最期の触れ合いの中で、再び、押し込んでくる。なんと、じっとり責めてくる映画

ラストに救いらしきもの微妙なシーンでメタファ的に手渡される

女の子が、背伸びして、ベランダから外を見つめるシーン

何かを期待し、無いと解っていても、もしかしたらとベランダから見てしまう。

おそらく、この女の子は、これを毎日、繰り返しているのではないか

決して救いではない「期待」という“らしき”、この2文字を、無理やり手渡された、そんなラストシーンだったと思います。ほんと、嫌~な後味の映画

回想すると、さらに恐ろしさに気づく

やっぱ、樹木希林お婆ちゃんが逞しくて、映画のリアリティに凄く寄与していたと思います。よくよく考えると、このお婆ちゃんが、奈落エネルギー放出前に、奇しくも逃げ切り勝ちしてしまったこの映画唯一の幸せ者なのかもしれません。

でも今後この万引き家族が、どうなってしまうのか、自分の死後、未来を予見してしまったお婆ちゃんが、海辺で戯れるみんなを見て、独り呟いた言葉

それが何であったか、それがこの映画の象徴的なシーンでもあり、贖罪出来ぬまま、死をもって解放されるが、せめて十字架は背負ったまま、この万引き家族と心中しよういう決意の呟きであったか、そんな気がしてなりません。

この嫌~な映画「万引き家族」

凄い名作だと思います。

地上波でも放映されましたが、僕は映画館で1度観てます。

あと、なんとですね、新開地のパルシネマさんでも現在上映中w

見逃した人、是非どうぞ!やっぱ映画館で見ないと、良さは解らない思います。

7/24まで

映画を見た後、素麺食べたくなるかもしれません

パルシネマさんの丁度すぐ近くに、はつ平さんって蕎麦屋さんあります。

確か素麺セットがあったはず。

www.palcinema.net

 

ほとんど断定的に語りすぎて、?って感じがあると思いますが、ご容赦下さいませ、最後まで思うまま語らせて頂き、読んで下さった皆様、どうもありがとう御座いました!

次回からも、もっとまともなブログを書こうと励みにしたと思います。